- 気圧は高度とともに下がる。空気中の酸素割合は約21%のままだが酸素の圧力が下がり一回の呼吸で届く酸素が減る
- 体は呼吸増加と心拍上昇で応答し数日かけて赤血球増加などで順応する(適応)
- 順応していない人は約2450〜2750メートル付近から影響を感じ始めることが多い
- 高度による気圧変化は数百ヘクトパスカル規模で天気変化の数十ヘクトパスカルよりはるかに大きい
- 心肺疾患のある人や妊婦は高地旅行を主治医と相談するのが望ましい
もし山へ車で上り耳が詰まる感じを経験したり、高台のホテルの階段で息が上がったり、スキー旅行の初日に眠れなかったことがあれば高度と体調の関係を体感しています。海面から離れるほど空気は「薄く」なり体はそれを感知します。天気や気圧変化で体調を気にする人はこの仕組みを知ると旅行や日常が少し予測しやすくなります。
高度で実際に何が変わるか
最も重要な事実はこうです。気圧は高度が上がるにつれて下がります。空気には重さがあり海面では地球を覆う空気の底に立っているため圧が高くなります。山に登ると頭上の空気が減り気圧が下がります。海面での標準気圧は約1013ヘクトパスカル(101 kPa)でこれが100%の基準です。国際標準大気によれば次のように下がります。おおよそ2000メートルで約20%低下、3000メートルで約30%低下、5500メートルで海面の半分、エベレスト頂上では海面の約30%に相当します。
重要なのは酸素の割合は変わらず約21%のままでも酸素の「圧力」が下がることです。空気が薄くなるため一回の呼吸に含まれる酸素分子は減ります。これを部分的に表すのが酸素の分圧で海面では吸入酸素の駆動圧がおよそ20 kPa、3000メートル付近では約13 kPaに低下します。分圧の低下が肺から血液への酸素移動を減らし多くの高地症状の根本原因になります。これを低圧低酸素と呼びます。
体が感じる仕組みと適応
体は臓器への酸素供給を保つのが得意で酸素が減ると数時間以内に反応します。代表的な反応は呼吸増加と心拍数の上昇です。数日かけて赤血球を増やすなどの深い調整が起きこれを適応と呼びます。急速に上がった場合、順応していない人は急性高山病(AMS)を感じやすく主な症状は頭痛で倦怠感、食欲低下、吐き気、めまい、睡眠障害を伴うことがあります。通常は軽度で体が順応すれば治まることが多いと公的機関は説明しています。
天気の気圧変化との比較と注意点
日常の気象による気圧変化は通常数十ヘクトパスカルの振れにとどまり、海面から山へ移動する際の数百ヘクトパスカルとは比べ物になりません。ただしメカニズムは重なっており副鼻腔や内耳、血管など気圧感受性のある組織が反応します。高地旅行を計画する際はゆっくり高度を上げることが最も効果的で、心肺疾患や妊娠中の人、高齢者は主治医と相談するのが賢明です。
出典
- Centers for Disease Control and Prevention (CDC), CDC Yellow Book — High-Altitude Travel & Altitude Illness
- NCBI / NIH, The Physiology of High-Altitude Exposure
- Grocott M. et al., Oxygen at high altitude (PMC / NIH)
- Luks A.M. et al., High-Altitude Illnesses (PMC / NIH)
- U.S. National Weather Service (NOAA), Standard atmosphere and pressure with altitude
NOAA SWPC と GFZ Potsdam のライブデータをもとに作成し、MeteoStorms チームが確認しています。
データ出典:NOAA SWPC, GFZ Potsdam
